戦前当家においてこの地で醸されていた清酒が「妙正宗」です。戦後の企業統廃合の政策によりこの地での清酒醸造は幕を閉じ、それと同時に妙正宗も姿を消しました。
そんな折、かつて地元に存在した地酒を懐かしむ声が耳に入ってきました。そんな昔を知る人も年を追うごとに少なくなってきています。
先人たちの想いを再び世に出したい、引き継ぎたい、そんな想いで新たなる清酒「妙正宗」を発売するに至りました。
当家先人の想いを最も感じ継承できるのは当家の人間。そのルーツを継承する人間が酒造りに携わることを大事にしました。新たな「妙正宗」は奈良県橿原にある喜多酒造株式会社で醸されています。そこには当家出身の男が杜氏として蔵元として酒造りを統括し行っています。
現在当家には残念ながら清酒醸造を行える環境がありませんが、当家先人の想いを最も継承する者が造り全てに関わり、故郷や先祖を心に思い描きながら櫂を入れています。醸造設備のない当家でこのお酒をもう一度発売しようと思い立った最大の核は、綿々と続く人の繫がり、先祖からのルーツ、家族の絆、そうした今最も大切にしたいと考える、紛れもない人の存在の根本を感じ、守りたいと考えたからです。
醸造地は離れていても、直系ともいえるルーツ、太くて強い繋がりがこのお酒を「妙正宗」たらしめる最大の理由となり存在します。
昔と今を繋ぐお酒、今日から明日に渡すお酒、この先もずっとずっと伸びゆく白線のようにこの地から発していきたいと思います。
[ 杜氏:喜多整(旧姓村松)]
「あま酒」というとその名からアルコールを含む、いわゆるお酒であるといった認識を持つ方が多いのが現状です。そこには実際に甘酒に二つのタイプがあることが起因しています。一つが酒粕を溶かし砂糖などで甘味を加え作られるもので、これだと酒粕に含まれるアルコール分が多少なりとも残り、お酒の一種ということになります。
もう一つは糀からつくられるものがあります。これは、麹の持つ酵素の力によってお米のデンプンを分解しブドウ糖をつくりだし、タンパク質が分解されアミノ酸ができる、糖類無添加、アルコール0%の栄養満点の甘酒となります。
当社のあま酒は後者であり、地元福井県産米を100%使用した清酒用麹のみでつくられる伝統的な本格派あま酒です。清酒醸造用に高精白されたお米を使うことで、より純白な色合いと品のある甘さが特徴です。
どこか懐かしさを感じさせる甘さと口当たりは、まさに昔ながらの糀ジュースと呼ぶにふさわしいのです。そんな柔和な味わいとはうらはらに、含まれる豊富な必須アミノ酸やビタミン類などその栄養価は点滴にも匹敵すると評されています。アルコールは全く含まれませんので、小さなお子様でも楽しめます。
その昔、酒屋では「乳が出ぬならあま酒飲ませ!」と言われていたほどです。時間がなくつい抜きがちな朝食の代わりに一杯など、毎日少しづつ飲むことで体の調子を整え、元気な活動をサポートしてくれます。
古くから伝わる日本が誇る発酵文化、麹文化の素晴らしさを改めて再確認し、多くの方に伝えていきたいと思います。「あま酒飲んで元気になろう!」